「40代からでも歯列矯正ができるのかを知りたい」 40代の方で歯列矯正を検討している方のなかには、上記のようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
「歯列矯正にかかる費用を知りたい」
「40代におすすめの歯列矯正があれば知りたい」
40代からでも歯列矯正は可能です。治療法として、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などがあります。この記事では、40代で歯列矯正をするメリットやリスク、治療法の種類を解説します。
40代からの歯列矯正を成功させるポイントもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.40代からでも歯列矯正は可能か?
40代からでも歯列矯正は可能です。歯を動かす仕組みに年齢は関係ないため、お口の健康状態が良好な場合、何歳からでも治療を始められます。
ただし、歯列矯正をおこなうには、重度の歯周病がなく、歯を支える顎の骨がしっかりしていることが前提です。また、糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患がある場合は、歯科医師だけではなく、主治医との相談も必要です。
これらの条件を満たしていれば、年齢を理由に諦める必要はありません。
2.40代から歯列矯正を始めるリスク
40代から歯列矯正を始めるリスクは、以下の5つです。 1つずつ解説します。
2-1.虫歯や歯周病になりやすい
40代の歯列矯正は、治療中に虫歯や歯周病になるリスクが高まります。矯正装置を装着すると、歯ブラシが届きにくい場所が増え、磨き残しが多くなるのが原因です。とくに40代は、加齢によって歯茎が下がり始め、もともと虫歯や歯周病になりやすい年代でもあります。
虫歯や歯周病を予防しながら歯列矯正を進めるために、普段以上の丁寧な歯磨きや、歯科医院での定期的なクリーニングを心がけましょう。
2-2.治療が長引く
40代からの歯列矯正は、骨の代謝が若い頃より緩やかになるため、治療期間が長引く傾向にあります。歯は、骨が作り変えられるサイクルを利用して動きますが、年齢を重ねるとこの骨の反応が遅くなるためです。
顎の成長が完了している大人は、成長期の子どもと比べて歯が動きにくいことも、矯正治療が長引く原因です。個人差はありますが、一般的に子どもより半年から1年ほど長く期間が必要になる場合もあります。
2-3.歯茎や歯根に悪影響をおよぼす
40代からの歯列矯正は、歯を支える歯茎や歯根に負担がかかり、悪影響をおよぼすリスクがあります。年齢とともに歯周組織の新陳代謝が落ちるため、歯の移動に歯茎がうまくついていけず、歯茎が下がる「歯肉退縮」といった症状が起きる場合も。
また、歯を動かす力が歯根にダメージを与え、根の先が短くなる「歯根吸収」のリスクも、若い世代に比べて高まるといわれています。
2-4.顎関節に負担がかかる
40代は、加齢によって顎の関節やその周りの筋肉が変化しているため、歯列矯正が顎関節に負担をかけるリスクがあります。歯並びや噛み合わせを変える治療は、顎の関節の位置にも影響を与えます。そのため、治療中に「口が開きにくい」「顎がカクカク鳴る」といった、顎関節症のような症状が出ることが稀にあるのです。
治療を始める前に、顎の状態もしっかりと検査してもらうようにしてください。
2-5.矯正装置に慣れるまで時間がかかる
40代からの歯列矯正は、若い世代と比べて、装置の違和感に慣れるまで時間がかかる場合があります。これは、年齢とともに体の代謝機能が低下し、歯の移動スピードが緩やかになることが一因です。歯がゆっくり動く分、装置による圧迫感や痛みを長く感じやすい傾向があります。
また、お口のなかの粘膜もデリケートになっている場合があり、口内炎ができやすいため、焦らず自分のペースで慣れていく必要があります。
痛みが悪化する場合は、矯正用ワックスの使用や口内炎薬の塗布、歯科医院で装置の調整を歯科医師へご相談ください。
3.40代からの歯列矯正でよくある後悔
40代からの歯列矯正でよくある後悔は、以下の4つです。
- 顔の印象が変わる
- 歯と歯の間に隙間ができる
- 歯が長くなる
- 歯が変色する歯髄壊死を起こす
1つずつ解説します。
3-1.顔の印象が変わる
40代からの歯列矯正では、治療後にほうれい線が濃くなるといった、顔の印象が変わってしまい後悔をするケースがあります。とくに抜歯をともなう矯正で口元が下がると、頬の皮膚がたるんでほうれい線が目立ちやすいです。
また、矯正装置に慣れるまでの一時的な食欲不振や、噛む回数の減少で口周りの筋肉が痩せてしまうのも原因の1つです。
治療前に、顔の印象がどのように変化する可能性があるか、歯科医師と十分に話し合いましょう。
3-2.顔が面長に見える
歯列矯正で、とくに出っ歯を治す治療で前歯を後ろに動かすと、鼻の下から上唇までの距離(人中)が伸びて、顔が面長に見える場合があります。これは、口元が下がることで、顔のパーツのバランスが変化することによって起こる現象です。
もともと面長な顔立ちの方が抜歯を伴う矯正をおこなうと、その印象がより強調される可能性があります。
小顔効果を期待していたのに、かえって顔が長く見えるようになった、という後悔をしないためにも、事前のシミュレーションが重要です。
3-3.歯と歯の間に隙間ができる
40代からの歯列矯正では、歯と歯茎の間に「ブラックトライアングル」と呼ばれる黒い三角形の隙間ができる場合があります。ブラックトライアングルは、加齢や歯周病によって歯茎が下がり(歯肉退縮)、もともと歯槽骨があった部分が露出することで起きます。
歯周病や強すぎる歯磨き、歯ぎしりは歯肉退縮を進行させるため注意が必要です。歯並びは綺麗になったのに、根元の隙間が気になるといった後悔につながるため、治療中の丁寧なケアを心がけましょう。
3-4.歯が長くなる
歯列矯正後に、歯が以前より長く見えるように感じる場合があります。これは、歯を動かす過程で歯茎が下がる「歯肉退縮」が起こり、これまで歯茎に隠れていた歯の根元部分が見えてくるのが原因です。
40代は、もともと歯周病などで歯茎が下がりやすい年代のため、矯正治療がその傾向を助長してしまう場合も。歯並びは整っても、歯が長く見えることで老けた印象を与えてしまうという後悔につながる可能性も考えられます。
3-5.歯が変色する歯髄壊死を起こす
ごく稀に、歯列矯正の力が歯の神経(歯髄)にダメージを与え、神経が壊死する「歯髄壊死」を起こし、歯が変色する場合があります。歯を動かすための圧力が、歯の根の先にある血管を圧迫し、神経への血流が途絶えてしまうのが原因です。
神経が壊死すると、歯は徐々に灰色や黒っぽい色に変色します。痛みがないまま進行する場合もあるため、治療中に歯の色の変化に気づいたら、すぐに歯科医師へ相談しましょう。
4.40代からの歯列矯正で得られる効果・メリット
40代からの歯列矯正で得られる効果・メリットは、以下の6つです。 1つずつ解説します。
4-1.口元の印象がよくなる
40代からの歯列矯正は、出っ歯や口ゴボといった悩みを改善できるのがメリットです。歯並びが整うと、突出していた唇が自然な位置に収まり、横顔のEラインも美しくなります。また、噛み合わせが整うと、口周りの筋肉のバランスも改善され、引き締まった印象を与えます。
見た目のコンプレックスが解消されると、自信を持って笑えるようになり、仕事やプライベートでのコミュニケーションもより豊かになるでしょう。
4-2.虫歯や歯周病になりにくくなる
歯列矯正は、将来の虫歯や歯周病のリスクを減らし、お口の健康を維持しやすいです。歯並びが整うと、これまで歯が重なって磨きにくかった部分にも歯ブラシが届きやすくなり、磨き残しが減少します。これにより、歯垢が溜まりにくくなり、虫歯や歯周病の原因を取り除けます。
歯列矯正によって虫歯や歯周病を防げることは、40代からの健康寿命を延ばすうえでも重要なメリットです。
4-3.顎関節にかかる負担が減る
40代の歯列矯正は、乱れた噛み合わせを正し、顎の関節にかかる過度な負担を軽減します。歯並びが悪いと、特定の歯や顎の関節に噛む力が集中してしまい、顎の痛みや「カクカク」という音の原因になる場合も。
歯列矯正で噛み合わせを均等にすると、噛む力が分散されるため、顎の不調改善につながる可能性があります。
4-4.頭痛や肩こりが軽減する
歯列矯正による噛み合わせの改善は、原因不明の頭痛や肩こりを軽減する効果が期待できます。悪い噛み合わせは、顎周りの筋肉を常に緊張させ、その緊張が首や肩の筋肉にまで伝わる場合も。
矯正治療で正しい噛み合わせになると、この筋肉の過度な緊張が和らぐため、長年悩まされていた体の不調が根本から改善できる可能性があります。
4-5.発音が良くなる
歯列矯正で、歯の隙間や舌の位置を改善すると、滑舌が良くなり発音が明瞭になります。具定例として、歯の隙間から空気が漏れて発音しにくかった「サ行」が、歯並びの改善で発音しやすくなるケースも。
また、舌が正しい位置に収まるようになると、言葉をはっきりと発音できるようになります。その結果、人とのコミュニケーションに自信が持てるようになり、仕事やプライベートにも良い影響を与えるでしょう。
4-6.胃腸への負担が軽減する
歯列矯正でしっかり噛めるようになると、食べ物の消化を助け、胃腸への負担を軽減できます。
歯並びが悪いと、食べ物を十分に噛み砕けないまま飲み込む傾向があり、消化不良や胃もたれの原因となるのです。歯列矯正で噛み合わせが整うと、食べ物を細かく咀嚼できるようになるため、栄養の吸収効率も高まり、体全体の健康維持にも貢献します。
5.40代におすすめの治療法
40代におすすめの治療法は、主に以下の2種類です。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
1つずつ解説します。
5-1.ワイヤー矯正
ワイヤー矯正には、表側矯正・裏側矯正・ハーフリンガル矯正の3種類あります。
5-1-1.表側矯正
表側矯正は、歯の表側にブラケットという装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かす、最も一般的な歯列矯正です。幅広い症例に対応できる安定した治療法であり、ほかの方法と比べて費用を抑えられるのがメリットです。
ただし、装置が外から見えてしまうため、矯正中の見た目が気になる方も少なくありません。最近では、白や透明で目立ちにくいブラケットも選べるようになっているため、気になる方は歯科医師へ相談してください。
5-1-2.裏側矯正
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着するため、周囲には矯正しているのがほとんど分からない治療法です。人前に出る機会が多い40代の方でも、見た目を気にせずに歯並びを整えられます。
矯正装置が舌に触れるため、慣れるまでは話しにくさや違和感を覚えやすいです。また、表側矯正よりも費用は高くなる傾向にあります。
裏側矯正は、誰にも気づかれずに治療を進めたい方におすすめです。
5-1-3.ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は、人から見えやすい上の歯には裏側矯正を、あまり目立たない下の歯には表側矯正をおこなう、両方の良い点を組み合わせた治療法です。下の歯は唇で隠れやすいため、表側矯正でも比較的目立ちません。これにより、裏側矯正の審美性と、表側矯正の費用面のメリットを両立できます。
「見た目は気になるけれど、費用もできるだけ抑えたい」と考える40代の方にとって、ハーフリンガル矯正はおすすめの治療法です。
5-2.マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明で目立ちにくいマウスピース型の装置を、段階的に交換しながら歯を動かしていく治療法です。自分で取り外しができるため、食事や歯磨きは普段通りにおこなえます。
40代のビジネスシーンや会食の際にも、一時的に外せるのがメリットです。
ただし、効果を得るためには、決められた装着時間をしっかり守る自己管理が重要です。
6.40代からの歯列矯正を成功させるポイント
40代からの歯列矯正を成功させるポイントは、以下の4つです。
- 食事に気を付ける
- 治療中の歯磨きを徹底する
- マウスピース矯正では装着時間を厳守する
- 定期的に歯科医院でメンテナンスをおこなう
1つずつ解説します。
6-1.食事に気を付ける
40代からの歯列矯正を成功させるには、治療中の食事に気を付けるのが大切です。矯正装置はデリケートなため、おせんべいのような硬いものや、お餅やキャラメルのような粘着性のある食べ物は、装置の破損や変形の原因となります。また、ほうれん草といった繊維質の多い野菜は装置に絡まりやすく、歯磨きの手間が増えます。
矯正装置を壊さず、快適に治療を進めるためにも、食事の内容を工夫しましょう。
関連記事:インビザライン矯正中の食べ歩きで注意すべきポイントを紹介
6-2.治療中の歯磨きを徹底する
矯正治療中は、虫歯や歯周病を防ぐために、これまで以上に徹底した歯磨きが必要です。ワイヤー矯正では装置の周りに汚れが溜まりやすく、マウスピース矯正は食後の歯磨きを怠ると、装置のなかで細菌が繁殖しやすいです。
40代はとくに歯周病のリスクが高まる年代のため、丁寧なセルフケアを怠ると、治療が長引く原因にもなりかねません。専用の歯ブラシを使用したこまめな歯磨きをおこない、お口を清潔に保ちましょう。
6-3.マウスピース矯正では装着時間を厳守する
マウスピース矯正を選ぶ場合、計画通りに治療を進めるためには、1日20時間以上という装着時間を厳守するのが絶対条件です。マウスピースは、決められた時間装着し続けることで、歯に適切な力をかけ、少しずつ動かしていきます。装着時間が不足すると、歯が計画通りに動かず、治療期間が延長してしまったり、期待した効果が得られなかったりします。
食事や歯磨きの時以外は装着するという、徹底した自己管理を心がけましょう。
関連記事:インビザラインを1日つけ忘れた!矯正への影響や対処法・予防法を解説
6-4.定期的に歯科医院でメンテナンスをおこなう
40代からの歯列矯正では、計画通りかつ安全に治療を進めるため、定期的なメンテナンスが重要です。通院時には、ワイヤーの調整や新しいマウスピースへの交換だけでなく、自分では取り切れない汚れの専門的なクリーニングもおこないます。これにより、虫歯や歯周病といった治療中のトラブルを早期に発見し、対処が可能です。
自己管理と専門家によるケアの両立が、歯列矯正の成功につながります。
7.まとめ
40代からの歯列矯正は、見た目の美しさだけでなく、将来のお口と体の健康を守るための価値ある自己投資です。
この記事で解説したように、虫歯や歯周病のリスクを減らせるほか、噛み合わせの改善が全身の健康にも良い影響をもたらします。もちろん、治療期間や費用、注意点など、若い頃とは異なる配慮も必要です。
まずは勇気を出して、カウンセリングで相談することから始めてみてはいかがでしょうか。
当院では、健康な歯をできるだけ抜かない治療を心がけています。軽度な症例から難症例まで様々な年代の様々な歯並びに対応できるため、お気軽にご相談ください。