
歯列矯正を考えたとき、「本当にやってよかった」という声の一方で、「後悔した」という体験談を目にして、不安になっていませんか?
決して安くはない費用と長い時間をかけるからこそ、絶対に失敗したくないと思うのは当然です。歯列矯正の後悔は、「見た目の変化」「痛み」「費用」など、いくつかの典型的なパターンに分類できます。
そこでこの記事では、歯列矯正でなぜ後悔が生まれるのか、その原因と具体的な対策を徹底的に解説します。
これから治療を始める方も、今まさに悩んでいる方も、後悔しないための正しい知識を身につけ、納得のいくゴールを目指しましょう。
1.歯列矯正で後悔する理由
歯列矯正で後悔する理由は、以下の4つです。
- 見た目の後悔
- 機能の後悔
- 健康面の後悔
- 計画・結果の後悔
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.見た目で起こる後悔
歯列矯正によって生じる見た目の後悔は、以下の3つです。
- 口元が突出した
- ほうれい線が濃くなった
- 理想と違う顔立ちになった
1つずつ解説します。
1-1-1.口元が突出した
歯列矯正後、歯並びはきれいになったのに、口元全体が前に出てしまう場合があります。歯を並べるスペースが足りないのに無理に歯を動かした結果、歯列が前方に傾くのが口元が突出することが原因です。
口元が突出すると、横顔のバランスが崩れ、口ゴボと呼ばれる状態になる場合もあります。治療前に、抜歯の必要性を歯科医師としっかり話し合うのが大切です。
1-1-2.ほうれい線が濃くなった
歯列矯正の後悔として、歯を動かした影響で、ほうれい線が以前より目立つようになるケースがあります。抜歯を伴う矯正では、口元がうしろに下がり、頬の皮膚がたるんだように見えるのが原因です。
また、矯正中の食事の変化で、口周りの筋肉が痩せるのも原因の可能性があります。
ほうれい線について気になることがあれば、すぐに歯科医師へ相談しましょう。
1-1-3.理想と違う顔立ちになった
歯列矯正では顔の印象も変わるため、治療前に十分なシミュレーションをおこなわないと、自分が思い描いていた理想の顔立ちと違う仕上がりになる可能性があります。歯並びが変わると、口元の位置や唇の形、顎のラインまで変化し、顔全体の印象に影響するためです。
多くの歯科医院では、専用ソフトで治療後の顔の変化をシミュレーションをおこないます。理想のイメージを医師と共有し、どのような変化が予測されるのかを納得いくまで確認しましょう。
1-2.機能面で起こる後悔
歯列矯正によって生じる機能面の後悔は、以下の3つです。
- うまく噛めなくなった
- 発音しにくくなった
- 顎が痛くなった
1つずつ解説します。
1-2-1.うまく噛めなくなった
歯列矯正の治療後、見た目は整ったのに、うまく食べ物が噛めなくなることで後悔することがあります。見た目を優先するあまり、奥歯や前歯がしっかり噛み合うように調整されていないことが原因です。
噛み合わせの調整がしっかりされていないと、麺類を前歯で噛み切れなかったり、特定の歯だけが強く当たったりします。
正しい噛み合わせは、食事や消化、歯の寿命にも関わる問題です。見た目だけではなく、噛み合わせの具合も歯科医師にしっかり確認してもらいましょう。
1-2-2.発音しにくくなった
歯列矯正後に、歯の位置が変わると、特定の音が発音しにくくなる場合があります。とくに「サ行」や「タ行」など、舌先を歯の裏側に当てて出す音に影響が出やすいです。
歯列矯正後に発音がしにくくなるのは、歯と歯の隙間から息が漏れてしまったり、舌がうまく当たらなくなったりすることが原因です。
ほとんどの場合、慣れによって改善していきますが、発音のしにくさが残る場合は、噛み合わせに問題がある可能性もあります。なるべく早めに、歯科医師へ相談してください。
1-2-3.顎が痛くなった
歯列矯正後に噛み合わせが不安定だと、顎の関節に負担がかかり、痛みやカクカクといった音(顎関節症)が生じる後悔もあります。
きれいな歯並びでも、噛み合わせのバランスが悪いと、顎は無理な動きを強いられ、顎周りの筋肉の緊張や、頭痛、肩こりを引き起こすことが原因です。
歯列矯正を検討されている方は、見た目だけでなく、顎に負担のない機能的な噛み合わせの実現も考えるようにしてください。
1-3.健康面で起こる後悔
歯列矯正によって生じる健康面の後悔は、以下の3つです。
- 虫歯や歯周病が悪化した
- 歯の神経が死んでしまった
- 歯ぐきが下がった
1つずつ解説します。
1-3-1.虫歯や歯周病が悪化した
歯列矯正で後悔する点として、歯並びは整ったものの、治療中に虫歯や歯周病が悪化してしまうケースがあります。矯正装置の周りは磨き残しが多いため、細菌が繁殖しやすい環境です。
せっかく歯並びがきれいになっても、歯磨きが十分にできていないと、歯が黒ずんだり歯茎が腫れたりする場合があります。治療中は、歯科医院での定期的なクリーニングと、日々の丁寧な歯磨きがこれまで以上に重要です。
1-3-2.歯の神経が死んでしまった
歯列矯正の際、歯を動かす力が強すぎると、歯の神経が死んでしまう場合があります。歯の神経が死んでしまうと、歯は徐々に黒っぽく変色し、見た目の美しさを損なってしまいます。
また、将来的に歯の根の先に膿が溜まるといった問題を引き起こす場合もあるため、歯列矯正で過度な力をかけない、経験豊富な歯科医師を選びましょう。
1-3-3.歯ぐきが下がった
歯列矯正後に、歯茎が痩せて下がることで、歯が長く見えたり、歯と歯の間に黒い三角形の隙間(ブラックトライアングル)が目立ったりする場合があります。
もともと歯茎が薄い方や、大人の叢生の治療で起こりやすい現象で、一度下がってしまった歯茎をもとに戻すのは困難です。
歯茎の下がりやブラックトライアングル防止のために、治療開始前から歯肉退縮のリスクも歯科医師へ相談しましょう。
1-4.計画・結果時に起こる後悔
歯列矯正によって生じる治療計画・結果の後悔は、以下の4つです。
- 後戻りした
- 治療が終わらない
- 隙間ができた
- 費用が想定以上にかかった
1つずつ解説します。
1-4-1.後戻りした
歯列矯正でよくある後悔が、治療後に歯並びがもとに戻る後戻りです。
矯正装置を外したあとは、まだ不安定で歯が動きやすい状態です。この時期に、歯並びを固定する保定装置(リテーナー)の使用を怠ると、歯はもとの位置に少しずつ動きます。
治療を無駄にしないためにも、保定期間中はリテーナーの装着を心がけましょう。
1-4-2.治療が終わらない
治療開始時に立てた計画通りに進まないということも、歯列矯正でよくある後悔です。
歯の動きには個人差があるため、必ずしも計画通りに進むとは限りません。また、マウスピースの装着時間が短いといった、患者さん側の協力が不足している場合も、治療が長引く原因です。
また、治療が長引くと、通院の負担や追加費用も発生することがあり、さらなる後悔を生むこともあります。
1-4-3.隙間ができた
歯列矯正の後悔として、歯と歯の間に新たな隙間ができる場合があります。抜歯したスペースが完全に閉じきらなかったり、歯の形が原因で歯の間に三角形の隙間(ブラックトライアングル)ができたりすることが原因です。
歯と歯の隙間は、食べ物が挟まりやすくなるだけでなく、見た目の問題にもなります。治療計画の段階で、隙間ができるリスクがないか、歯科医師に確認しておきましょう。
1-4-4.費用が想定以上にかかった
治療を初めて見たら、当初の見積もりよりも費用が高くなることがあります。
たとえば、毎回の調整料や治療後の保定装置代が別料金だったケースが例として挙げられます。また、治療期間が長引いた分、追加の費用がかかる場合もあります。
矯正治療の契約前には、提示された金額にどこまでの処置が含まれるのかを細かく確認しましょう。料金体系が明確な「総額提示制」の歯科医院を選ぶのも、後悔しないための1つの方法です。
2.歯列矯正で後悔しないための対策・注意点
歯列矯正で後悔しないための対策・注意点は、以下の7つです。
- 信頼できる歯科医師・クリニックを慎重に選ぶ
- メリットだけでなくリスクやデメリットも十分に説明を受ける
- シミュレーションを活用し治療後のイメージを医師と共有する
- 装置の装着時間や通院頻度など医師の指示を必ず守る
- 治療中の口腔ケアを丁寧におこない虫歯や歯周病を防ぐ
- 保定装置(リテーナー)を指示された期間・時間に必ず使用する
- 定期メンテナンスに通う
それぞれご紹介します。
2-1.信頼できる歯科医師・クリニックを慎重に選ぶ
歯列矯正を始める際は、信頼できる歯科医師・クリニックを慎重に選ぶようにしてください。
矯正治療は専門性が高い治療です。そのため、歯科医院のWebサイトで症例写真を確認したり、日本矯正歯科学会の認定医資格の有無を調べたりするのがおすすめです。
カウンセリングでの丁寧な説明や、質問のしやすさも大切な判断材料です。長期的に付き合えるパートナーとして、安心して治療を任せられる医師を見つけましょう。
2-2.メリットだけでなくリスクやデメリットも十分に説明を受ける
歯列矯正で後悔しないためには、良い点だけでなく、考えられるリスクやデメリットも事前にしっかり説明してもらうことが大切です。
治療によって歯の根が短くなるリスクや、口元が理想通りにならない可能性など、ネガティブな情報も隠さず話してくれる医師は信頼できます。すべての情報を理解したうえで、最終的に治療を受けるかを自分で決める姿勢が、歯列矯正で後悔を防ぐポイントです。
2-3.シミュレーションを活用し治療後のイメージを医師と共有する
歯列矯正で「理想とは違う顔になった」と後悔しないためには、治療後の口元の変化をシミュレーションで確認することが大切です。
最近では、多くの歯科医院で、歯の動きや横顔の変化を立体的に予測できるシミュレーションが利用でき、治療前に理想のイメージと照らし合わせることができます。
治療の目標を事前に歯科医師と共有することで、完成形とのギャップを最小限に抑えることができます。
2-4.装置の装着時間や通院頻度など医師の指示を必ず守る
矯正装置の装着時間や通院頻度などは、医師の指示を必ず守るようにしてください。
マウスピース矯正は、1日20時間以上の装着ができないと、歯は計画通りに動きません。自己判断でルールを破ると、治療期間が延びたり、満足のいかない結果になったりする場合があります。
歯列矯正で後悔しないためには、歯科医師の指示を守ることが大切です。
2-5.治療中の口腔ケアを丁寧におこない虫歯や歯周病を防ぐ
歯列矯正で後悔しないためには、治療中の丁寧な口腔ケアで、虫歯や歯周病を予防することが大切です。
装置の周りは磨き残しが多くなりやすく、虫歯や歯周病を発症するリスクが高まります。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスも毎日使い、お口を清潔に保ちましょう。
2-6.保定装置(リテーナー)を指示された期間・時間に必ず使用する
歯列矯正後の後戻りで後悔しないために、治療後の保定装置(リテーナー)の使用を徹底しましょう。
矯正装置を外した直後の歯は、まだ骨に定着しておらず動きやすい状態です。この時期にリテーナーをさぼってしまうと、歯はもとの位置へと少しずつ戻るリスクがあります。
治療期間と同じくらい、治療後の保定期間が重要であることも覚えておきましょう。
2-7.定期メンテナンスに通う
歯列矯正が終わったあとも、きれいな歯並びと口の健康を長く維持するために、歯科医院での定期的なメンテナンスに通い続けましょう。定期的な通院によって、自分では気づきにくいわずかな後戻りや噛み合わせの変化を、専門家が早期に発見してくれます。
また、自分では落としきれない汚れをクリーニングしてもらうと、虫歯や歯周病も予防できます。治療後の歯を良い状態で保つには、プロによる定期的なチェックが欠かせません。
3.歯列矯正で後悔してしまった場合の対処法

歯列矯正で後悔してしまった場合の対処法は、以下の3つです。
- まずは治療を受けた担当医に不満や懸念点を正直に相談する
- ほかの歯科医師の意見(セカンドオピニオン)を聞き客観的なアドバイスを求める
- 再治療(リカバリー)が可能かその方法や費用について検討する
1つずつ見ていきましょう。
3-1.まずは治療を受けた担当医に不満や懸念点を正直に相談する
歯列矯正の結果に後悔を感じた場合、まずは治療を担当した医師に、正直な気持ちを伝えて相談しましょう。どこに不満を感じているのかを具体的に話すと、問題点を共有し、改善策を一緒に考えてもらえます。
装置の微調整や、追加の処置などで解決できる場合もあるため、我慢せずに早めに相談するようにしてください。
3-2.ほかの歯科医師の意見(セカンドオピニオン)を聞き客観的なアドバイスを求める
担当医との話し合いで納得できない場合は、ほかの専門医の意見を聞くセカンドオピニオンを活用しましょう。第三者の視点で、現在の歯並びや噛み合わせの状態を客観的に評価してもらえるため、今の治療が本当に適切だったのか、ほかにどんな改善方法があるのかを知ることができます。
複数の専門家の意見を聞くのが、後悔のない次の選択をするうえで重要です。
3-3.再治療(リカバリー)が可能かその方法や費用について検討する
後戻りや仕上がりに不満がある場合、もう一度矯正をおこなう再治療が可能か相談してみましょう。全体をやり直すだけでなく、気になる一部分だけを治す、部分矯正で対応できるケースもあります。
ただし、再治療には追加の期間と費用がかかる点を理解しておく必要があります。複数の選択肢のなかから、自分の希望と予算に合ったリカバリー方法を見つけるのが大切です。
4.まとめ
歯列矯正で後悔しないためには、起こりうる失敗例を事前に知り、信頼できる医師と納得いくまで話し合うことが何より大切です。
この記事で解説したさまざまな後悔は、クリニックを慎重に選び、医師と治療のゴールを共有すると防げる場合があります。また、治療中と治療後の自己管理を徹底するのも、理想の歯並びを維持するには重要です。
当院では、健康な歯を抜かずに矯正して40年以上、10,200件以上の矯正実績があります。歯でお悩みの方はもちろん、歯列矯正を検討している方や治療で後悔している方もお気軽にご相談ください。