「歯列矯正は50代から可能?」「50代で矯正を始めるのは遅い?」と思っていませんか? 50代の方で、今から矯正治療を受けるのは遅いと思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、歯列矯正は50代からでも可能です。 この記事では、「50代の歯列矯正について、50代から治療を始めるメリット・デメリット」を紹介します。40代・50代から歯列矯正が増えている理由や、50代からでも歯列矯正ができる人・できない人まで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
1.歯列矯正は50代からでも可能
歯列矯正は、50代から可能です。ただし、歯列矯正を成功させるには、口腔衛生の徹底や複数の歯科医師への相談をおこない、自分に合った矯正方法の選択が重要です。
1-1.歯列矯正に年齢制限はない
歯列矯正に年齢制限はなく、健康な歯と歯茎があれば何歳でも治療が可能です。
加齢による歯周病や骨密度の低下に配慮し、適切な治療計画を立てることで、見た目の改善だけでなく、噛み合わせや口腔内の健康向上にもつながります。
2.40代・50代からの歯列矯正が増えている理由
40代・50代からの歯列矯正が増えている理由は、以下の3つです。
- 将来の健康を考えているため
- 自分の歯を守ることができるため
- コンプレックスを解消したいため
ひとつずつ解説します。
2-1.将来の健康を考えているため
40代・50代から歯列矯正が増える理由として、将来の健康を考える方が増えるためです。
噛み合わせを改善すると、全身の健康状態が向上する点が挙げられます。正しい噛み合わせにより、消化器系への負担が軽減され、栄養吸収が効率化されるのです。
また、歯列矯正による正しい噛み合わせと正しい歯の位置、顎の位置を獲得できると、呼吸や嚥下障害が改善され全身の健康維持につながりやすいです。歯並びが良くなることで、咀嚼筋群のバランスが良くなり、肩こりや頭痛といった慢性的な不調も緩和されることがあったり、猫背などの姿勢も改善することがあります。
2-2.自分の歯を守ることができるため
40代以降は、歯列矯正によって虫歯や歯周病を予防し、自分の歯をより長く守りたいと考える人が増えます。
歯列矯正によって歯並びが整うと、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが軽減されやすいです。歯周病の予防は、歯を支える骨や組織を守り、歯の寿命を延ばすことができます。
また、噛み合わせの改善で一部の歯への過剰な負担が解消されると、歯全体が均等に使用できるため、自分の歯を長く健康に保てます。
2-3.コンプレックスを解消したいため
50代で歯列矯正を開始する理由として、口元に持っていたコンプレックスを解消したいという方が増える点も挙げられます。
歯列矯正で歯並びの悩みを改善できると、口元を隠さずに笑えます。笑顔に自信がつき、人前での会話や食事が楽しくなると、コミュニケーションも円滑になりやすいです。
さらに、発音や滑舌の向上も期待できるため、対人関係や仕事にも良い影響を与えます。歯列矯正は、見た目だけでなく心理的な満足感や生活の質向上にもつながります。
3.50代から歯列矯正を始めるメリット・デメリット
50代から歯列矯正を始めるメリット・デメリットを、それぞれ解説します。
3-1.50代から歯列矯正を始めるメリット
50代から歯列矯正を始めるメリットは、以下の6つです。
- 治療期間に余裕がある
- 見た目や滑舌が良くなる
- 虫歯・歯周病リスクを軽減できる
- 噛み合わせの改善で食べ物の消化が良くなる
- 頭痛や肩・首凝りを抑えられる
- 顔の印象が変わる
ひとつずつ解説します。
3-1-1.治療期間に余裕がある
50代から歯列矯正を始める場合、治療期間に余裕が持てます。仕事や家庭での余裕が出てきている場合、矯正治療に必要な時間や通院回数にも対応がしやすいです。
また、治療中は歯磨きや口腔ケアに対しても時間をかけられるため、治療の効果を最大限に引き出せます。
3-1-2.見た目や滑舌が良くなる
50代から歯列矯正を始めることで、見た目や滑舌の改善が見込めます。歯並びが整うと口元がスッキリし、横顔のバランスが良くなるため、より若々しく美しい印象を与えられます。
また、発音や滑舌も改善されると、コミュニケーションも円滑になりやすいです。歯列矯正は見た目だけでなく、心理的な満足感や生活の質の向上につながります。
3-1-3.虫歯・歯周病リスクを軽減できる
50代からの歯列矯正は、虫歯や歯周病リスクの軽減が可能です。きれいな歯並びは、歯磨き円滑にするため、歯と歯の間でプラークが溜まりにくくなります。
虫歯や歯周病の原因となる細菌の繁殖を防げるため、口腔内を清潔に保ちやすいです。老後に向けた口腔健康の維持にもつながり、将来的な口腔トラブルの予防につながります。
3-1-4.噛み合わせの改善で食べ物の消化が良くなる
噛み合わせの改善により、食べ物をよく粉砕することがでるようになり、胃や腸への負担が軽減され、結果として消化機能が向上することも50代から歯列矯正を始めるメリットです。正しい噛み合わせによって食べ物をしっかりと噛めるため、消化吸収が効率化されます。
胃腸への負担が軽減され、消化不良や腹部膨満感などの不快感も減少されやすいです。また、噛み合わせが良くなると満腹感も得られやすくなり、食事量の調整も容易になります。
3-1-5.頭痛や肩・首凝りを抑えられる
50代から歯列矯正を始めることで、噛み合わせの改善による頭痛や肩・首凝りの緩和も可能です。噛み合わせが悪いと顎や首周辺の筋肉に余計な負担がかかり、慢性的な不調の原因になりやすいです。
歯列矯正により顎のバランスが整うと、姿勢や血流が改善されるため、症状の軽減が期待できます。
3-1-6.顔の印象が変わる
50代から歯列矯正によって、顔の印象も変わります。歯並びが整い、スマイルラインやEライン(横顔の顎から鼻先までのライン)が美しく整うと、顔全体のバランスが改善されやすいです。
より若々しくバランスの取れた見た目を得られるため、笑顔に自信が持てます。
3-2.50代から歯列矯正を始めるデメリット・注意点
50代から歯列矯正を始めるデメリット・注意点は、以下の6つです。
- 見た目が気になる
- 治療中に虫歯・歯周病のリスクがある
- ブラックトライアングルが生じる可能性がある
- 治療期間が長くなる
- 歯茎が下がる可能性がある
- 矯正装置が限定される可能性がある
それぞれ解説します。
3-2-1.見た目が気になる
50代から歯列矯正を始める際、矯正装置が目立つことで見た目が気になってしまうことがあります。たとえば、職場や人前での会話などが多いと、矯正装置の存在が心理的な負担となるケースもあるでしょう。
矯正中に顔の印象が変化すると、老け顔になるリスクもあるため、歯科医師へ相談のうえ慎重な治療計画が必要です。
3-2-2.治療中に虫歯・歯周病のリスクがある
50代から歯列矯正を始める際、矯正装置によって食べカスや歯垢が溜まりやすくなると、虫歯や歯周病のリスクを高める原因になります。さらに、唾液の分泌が減少することで細菌が繁殖しやすい環境となり、口腔衛生管理が難しくなる場合もあります。
自身でセルフケアを徹底し、定期的なメンテナンスを受けることも重要です。
3-2-3.ブラックトライアングルが生じる可能性がある
50代からの歯列矯正は、歯茎が下がりやすく、ブラックトライアングル(歯と歯の間に隙間)ができるケースもあります。隙間は見た目に老けた印象を与えるだけでなく、食べ物が詰まる原因になりやすいです。
前歯の矯正の際は目立ちやすく、さらに抜歯矯正になると歯の隙間が生じるリスクが高まるため、事前に歯科医師への相談が不可欠です。
3-2-4.治療期間が長くなる
50代から歯列矯正を始める際、治療期間が長くなる場合もあります。大人の歯列矯正は「1年半〜3年」程度かかるケースが多いですが、50代になると歯が動く速度が遅くなる傾向にあるためです。
また、治療期間は治療内容や個人の歯の状態によって異なります。歯科医師へ相談のうえ、適切な治療計画を立てることが不可欠です。
3-2-5.歯茎が下がる可能性がある
50代で歯列矯正を始めると、加齢や治療による歯茎への負担により、歯茎が下がるリスクがあります。歯茎が下がると歯の根元が露出するため、虫歯や知覚過敏のリスクも高まりやすいです。
また、歯茎が下がることで歯が長く見えるようになり、老けた印象を与える場合もあります。
3-2-6.矯正装置が限定される可能性がある
50代からの歯列矯正ではワイヤーでしか治らないケースもあります。インビザラインをはじめとするマウスピース矯正では力が弱すぎるため歯が動ないのです。このため、インビザラインで治療したが全く治っていない患者様がセカンドオピニオンを目的によく来院されます。マウスピース矯正のみで治る場合とワイヤー矯正でしか治らない場合、ワイヤーとインビザラインを併用した方が良い場合など治療方針は個人個人で全く変わります。その方個人の崩れた歯並びに合わせた矯正装置の選択が非常に重要なのです。
4.50代からでも歯列矯正ができる人・できない人
50代からでも歯列矯正ができる人・できない人を、それぞれ解説します。
4-1.50代で歯列矯正ができる人
50代で歯列矯正ができる人は、以下に該当する方です。
- 歯と歯茎が健康な人
- 十分な歯の本数がある人
- 全身の健康状態が良好な人
- 口腔ケアを徹底できる人
- インプラントやブリッジの状態が適切な人
それぞれ解説します。
4-1-1.歯と歯茎が健康な人
50代でも歯列矯正は可能ですが、歯と歯茎が健康であることが条件となります。もし虫歯や歯周病がある場合は、歯列矯正よりも優先的に治療する必要があります。
重度の歯周病や歯の本数が不足している場合は、矯正を始める前に、歯科医師による口腔内の状態の確認と適切な治療計画を立てましょう。
4-1-2.十分な歯の本数がある人
50代での歯列矯正では、十分な歯の本数が不可欠です。1本歯が減るごとに矯正治療の難易度が上がっていきます。特に奥歯が少なるなると矯正治療の難易度はぐっと上がります。
しかしながら、歯周病や虫歯で歯を多数失っている場合、マウスピース矯正単独で治療したり、インプラントやミニインプラント(インプラントアンカー)等を併用して矯正治療を行うこともあります。
ただ、やはり歯の本数は多ければ多いほど固定源が増えますので歯科医師が予測した通りの歯の動きが得られやすく、結果として矯正治療の成功率が上がります。
4-1-3.全身の健康状態が良好な人
50代で歯列矯正をする場合は、全身の健康状態が良好であると良いです。もし重度の糖尿病など矯正治療に対してリスクがある病気がある場合、歯列矯正よりも先に治療が必要になることがありますが、ほとんどのケースでは気にしなくても大丈夫です。
4-1-4.口腔ケアを徹底できる人
歯列矯正中は、口腔内の健康状態を維持することが求められるため、定期的なメンテナンスや口腔ケアの徹底が重要です。「歯磨き」「フロス」「歯間ブラシ」を使った、日常的な正しい口腔ケアが求められます。
矯正器具が取り付けられている場合、食べカスが溜まりやすく細菌が繁殖しやすい状態のため、徹底的なしっかりとした清掃が必要です。常日頃から念入りな口腔ケアをおこない、口腔内を清潔に保ちましょう。
4-1-5.インプラントやブリッジの状態が適切な人
50代で歯列矯正をおこなう場合、インプラントやブリッジがすでにある場合でも、その状態が適切でない場合は矯正治療が難しくなることがあります。
インプラントは顎骨に固定されて動かせないため、周囲の歯を矯正する際に歯の移動の制約が生じる場合もあります。場合によってはインプラントの撤去が必要になるケースもあります。またインプラントは天然の歯と違い全く動かないため、矯正治療終了後にインプラント部分のみかみ合わせがおかしくなることがあります。
ブリッジに関しては、ブリッジを支えている歯がすでに折れているケースや支える骨がなくブリッジを外すと抜歯になってしまうケースなどさまざまあります。このため、術前の診査の段階で、しっかりと個々の歯の評価を行い、インフォームドコンセントを行うことが重要と考えます。
4-2.50代で歯列矯正ができない人
50代で歯列矯正ができない可能性がある人は、以下に該当する方です。
- 重度の歯周病がある人
- 歯の本数が著しく少ない人
- 歯根周囲の骨が不足している人
ひとつずつ解説します。
4-2-1.重度の歯周病がある人
重度の歯周病の場合、歯を支える骨が痩せ弱くなっているため、歯列矯正ができないことがあります。歯がグラグラしている歯にさらに矯正力や負担をかけることは、歯の喪失につながってしまいます。
このため、歯が矯正治療に耐え得ることができるか?等個々の歯の評価を行ってから矯正治療の是非について診断します。
また、骨の状態だけでなく、歯肉の炎症の程度やプラークコントロールの状態を確認し、歯周病の治療を先行させることもあります。矯正治療のベネフィットとリスクをしっかりとお話しし、同意を得られてから矯正治療を開始します。
4-2-2.歯の本数が著しく少ない人
前述したように、歯列矯正では歯の本数が多いほど矯正治療の成功率は高くなります。歯の本数が著しく不足している場合には治療が困難となったり、ワイヤー矯正ではなくマウスピース矯正のみで治療したりとさまざまですが、固定源が喪失してしまうためあらゆる歯の動きが制限されてしまう可能性があります。
ただし、インプラントやミニスクリュー、アンカープレートなどを固定源として併用することで、歯列矯正が可能になる場合も。歯科医師へ相談し、矯正が可能になる治療プランはないか確認してみてください。
4-2-3.歯根周囲の骨が不足している人
歯根周囲の骨が不足している場合、矯正による歯の移動が難しくなります。もし骨が不足していると、歯を新しい位置で安定させられず、ぐらつきや治療失敗のリスクが高まるためです。
歯根周囲の骨が不足している場合は、必要に応じて骨造成手術などを検討する必要があります。
5.まとめ
歯列矯正は年齢制限がないため、50代からでも可能です。ただし、以下に該当する方は治療ができない可能性があるため事前に歯科医師への相談が必要です。
- 重度の歯周病がある人
- 歯の本数が著しく少ない人
- 歯根周囲の骨が不足している人
今からでも負担なく美しい歯並びを手に入れたい方や、将来の健康維持のために治療を受けたい方は、早めに矯正歯科を受診してみましょう。
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