「歯ぎしりや食いしばりがあると、インビザライン矯正はできないのでは?」と不安に感じていませんか? 実は、歯ぎしりや食いしばりがある場合でも、インビザライン矯正は可能です。ただしマウスピースが破損するリスクや、治療効果に影響が出る可能性があるため、いくつかの注意点があります。 この記事では、歯ぎしり・食いしばりが歯や口腔内に与える影響とインビザライン矯正の可能性、治療中の具体的な注意点・対策などについて説明します。 この記事を読むことで、歯ぎしり・食いしばりがある方でも、インビザライン矯正を検討できるようになります。 矯正治療を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.歯ぎしり・食いしばりとは
歯ぎしり・食いしばりは、夜間や日中に無意識に歯を噛みしめたりこすったりする習慣です。睡眠の質の低下やストレス、生活習慣の乱れが主な原因です。
実際に、夜更かしが続く時期や締め切り前などのストレスが多い時期に症状が強くなります。
1-1.歯ぎしりの原因
歯ぎしりの原因は大きく3つあります。
- 眠りの浅さ
- 日常的なストレス
- 生活の中での癖
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1-1.眠りの浅さ
睡眠中の歯ぎしりは、眠りの質が浅いときに起こりやすい症状です。深い睡眠に入らないと、体の筋肉が十分にリラックスできないためです。
特に夜遅くまでスマートフォンを見ていたり、寝る直前まで仕事をしていたりすると、眠りが浅くなりやすく、歯ぎしりの原因となります。
1-1-2.日常的なストレス
ストレスは歯ぎしりの一般的な原因の一つです。仕事や人間関係など、日常生活で感じるプレッシャーが、知らず知らずのうちに歯を食いしばる原因となります。
特に締め切り前や重要な会議の前日は、眠っている間も体が緊張状態のままで、歯ぎしりが起こりやすくなります。
1-1-3.生活の中での癖
仕事中やスポーツをしているときなど、集中している時に自然と歯を食いしばってしまう人も多くいます。
デスクワークで画面に集中しているときや、重い荷物を持つときなど、体に力が入る場面で無意識のうちに歯を噛みしめてしまいます。
歯を食いしばる習慣が続くと、いつの間にか歯ぎしりの癖がついてしまうのです。
1-2.歯や口腔内への影響
歯ぎしり・食いしばりは、口腔内にさまざまな悪影響を及ぼします。
- 歯のすり減りや欠け
- 詰め物や被せ物の脱落
- 知覚過敏や歯周病
- 顎関節症と頭痛
- 顎や顔の形態変化
それぞれ詳しく解説していきます。
1-2-1.歯がすり減ったり欠けたりする
歯ぎしりをすると、歯に想像以上の力がかかります。普段の食事の時よりもずっと強い力で歯をこすり合わせるため、歯がすり減っていくのです。
特に前歯は2週間ほどで0.2mm程度すり減ることもあり、そのまま放っておくと歯が短くなるリスクがあります。
1-2-2.詰め物や被せ物が外れやすくなる
歯ぎしりは、詰め物や被せ物などの治療した歯にも悪影響を与えます。歯を食いしばる力が何度も繰り返しかかるため、本来なら10年以上もつはずの被せ物が2~3年で外れてしまう可能性があります。
特に治療して間もない歯は要注意で、1ヶ月以内の詰め物でも緩んでしまうため注意しましょう。
1-2-3.知覚過敏や歯周病のリスクが高まる
歯ぎしりを続けていると、歯ぐきが下がってきてしまいます。通常の3倍以上の力で歯を噛みしめることで、歯ぐきが圧迫されるためです。
歯ぐきが下がると、歯の根元が露出して冷たい物や熱い物がしみやすくなり、歯周病になるリスクも高まってしまいます。
1-2-4.顎関節症や頭痛の原因になる
歯ぎしりで顎の関節に負担がかかり続けると、顎の調子が悪くなり、顎を大きく開けられなくなったり、耳の前あたりが痛くなる可能性もあります。
このような状態になると、こめかみの痛みが一日中続き、普通の頭痛薬では治りにくいため注意しましょう。
1-2-5.顎や顔の輪郭が変わる
歯ぎしりを長く続けていると、顔の形が少しずつ変化する可能性があります。
頬のあたりの筋肉を使いすぎることで、顎が張ってきてしまうためです。
半年ほどで顎の幅が太くなることもあり、気づかないうちに顔の印象が変わってしまう可能性があります。
2.歯ぎしり・食いしばりがある人でもインビザラインはできる?
一時的な歯ぎしりや食いしばりであれば、インビザライン矯正は可能です。
しかし習慣として定着している場合は難しく、より強度の高いワイヤー矯正など、ほかの矯正方法を選ぶ必要があります。
インビザラインのマウスピースは、装着時の違和感を減らすため0.5mmという極めて薄い素材でできています。強い力がかかる歯ぎしりや食いしばりがある場合、マウスピースが破損してしまう可能性が高くなるからです。
そのためインビザラインを検討するときは、歯ぎしりや食いしばりの状態を必ず歯科医師へ相談しておきましょう。
3.歯ぎしり・食いしばりがインビザライン矯正に与える影響
歯ぎしり・食いしばりはインビザライン治療に以下の問題を引き起こす可能性があります。 それぞれについて、詳しく解説していきます。
3-1.マウスピースに負担がかかる
インビザラインのマウスピースは、歯ぎしりによって思いのほか早く傷む可能性があります。
マウスピースは装着時の違和感を減らすために0.5mmという薄い素材でできているため、歯ぎしりの力に弱いのです。
特に奥歯の部分は2週間も経たないうちに穴が開いてしまったり、前歯の部分が1週間程度で変形したりする場合もあります。
3-2.治療効果への影響する
歯ぎしりがあると、治療期間が予定より長くなってしまう可能性があります。歯ぎしりの力で歯が思うように動かないためです。
通常なら1年半〜2年の予定だった治療期間が、半年以上延びてしまうケースもあります。
4.インビザライン矯正中の歯ぎしり対策
歯ぎしり・食いしばりがある場合のインビザライン治療では、以下の4つの対策が大切です。
- マウスピースの正しい装着・取り外しする
- マウスピースを定期的に洗浄する
- ストレス解消法を実践する
- 噛み締めを意識的に避ける
それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.マウスピースを正しく装着・取り外しする
マウスピースは、正しい方法で装着と取り外しをおこなってください。
装着するときは必ず両手の親指を使って奥歯から順番に押し込みましょう。外すときは前歯から慎重に行い、端っこから壊れるのを防いでください。
また、マス雨ピースは1日22時間は必ず付けておく必要があり、食事のときも30分以内の取り外しにとどめましょう。寝るときはつけたままにして、朝起きたらすぐにマウスピースに異常がないか確認してください。
4-2.マウスピースを定期的に洗浄する
マウスピースを長持ちさせるには、こまめな掃除が欠かせません。
朝と夜の1日2回は必ず専用クリーナーで洗い、特に寝る前はしっかり汚れを落とすことが大切です。汚れたままだと力が加わったときに壊れやすくなってしまいます。
また、洗った後は15分ほど水に浸して保管し、乾燥で変形しないようにしましょう。
週に1回は超音波洗浄機でしっかり掃除してください。
4-3.ストレス解消法を実践する
日常生活でストレスをためないことが、歯ぎしり予防につながります。
朝晩10分ずつ深呼吸をしたり、寝る1時間前に15分ほどストレッチをしたりすることから始めましょう。
ほかにも昼休みに10分ほど散歩をしたり、通勤中に首や肩をほぐしたり、日常生活の中で無理なく続けられる習慣を作りましょう。
4-4.噛み締めを意識的に避ける
日中に歯を噛みしめる癖を直すと、夜の歯ぎしりも減らすことが可能です。
仕事中は30分おきにアラームをセットして、意識的に顎の力を抜くようにしましょう。パソコンを使うときは画面までの距離を40cm以上取り、首や肩の緊張を和らげることで、顎への負担も減らせます。
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5.マウスピースが破損したときの対処法
マウスピースが破損してしまったら、すぐに歯科医院に連絡してください。
自分で修理したり、そのまま使い続けたりすると、歯が思わぬ方向に動いてしまったり、治療期間が長引いたりする可能性があります。破損が見つかったらできるだけ早く、遅くとも24時間以内には歯科医院に相談してください。
新しいマウスピースが出来上がるまでは、歯科医師の指示のもと、一時的に1つ前のマウスピースを使う場合もあります。ただし新しいマウスピースの作製には1週間から10日ほどかかり、費用も1セット2~3万円程度が必要です。
6.まとめ
今回は「歯ぎしりがある場合でもインビザライン矯正はできるのか」について解説してきました。
歯ぎしり・食いしばりがある場合でも、インビザライン矯正は基本的に可能です。
ただし症状の程度によって治療計画の調整や追加の対策が必要になります。
まずは歯ぎしりの改善から取り組みましょう。
今後、歯ぎしり・食いしばりがありながらインビザライン矯正を検討している方は、本記事の内容を参考に、必ず歯科医師に相談してから治療を始めるようにしてください。