インビザライン検討中の方で「インビザライン矯正中の痛みが心配」と不安に感じていませんか? 実は、インビザライン矯正でも、歯を動かす以上、まったく痛みがないわけではありません。痛みの程度を理解し、適切な対処法を知ることが重要です。 そこでこの記事では、インビザライン矯正での痛みの程度と感じやすいタイミング、痛みが起こる原因、具体的な対処法などについても詳しく解説します。 この記事を読むことで、インビザラインの痛みについての正しい知識を得て、適切な対処法を実践できるようになります。インビザライン治療を検討している方や、現在治療中の方は、ぜひ参考にしてください。
1.インビザライン矯正の痛みはどの程度?
インビザライン矯正は、痛みが少ないことが特徴の一つです。痛みの感じ方には個人差がありますが、治療により日常生活に支障をきたすような強い痛みを感じることは、ほとんどありません。
1-1.インビザライン矯正で痛みが出るのは歯が動いているから
インビザライン矯正では、マウスピースを装着することにより歯に適度な力を加えることで歯を動かしていきます。
この力は歯根膜という組織をつうじて伝わり、歯を少しずつ移動させる仕組みです。歯根膜は歯の根と骨の間にある大切な組織で、マウスピースの力により一方は引っ張られ、もう一方は縮むという変化が起こり、軽い違和感や痛みを感じる場合があります。
ただしインビザラインでは1枚のマウスピースで0.2〜0.25mm程度という、歯根膜の厚みに合わせた移動量に設定されているため、強い痛みを感じることは少ないのです。
1-2.インビザライン矯正のほうがワイヤー矯正より痛みを感じにくい
インビザライン矯正は、2週間ごとにマウスピースを交換しながら、少しずつ歯を動かしていく治療法です。段階ごとでわずかに形の異なるマウスピースを使用するため、歯への負担が小さく、違和感程度の痛みで済みます。
一方、ワイヤー矯正は約1ヶ月ごとにワイヤーを調整して歯を動かすため、その際に強い力がかかり、痛みを感じやすくなっているのです。
またマウスピースは薄くて滑らかな素材でできているため、ワイヤー矯正のような装置による口の中の傷つきも防げます。
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2.インビザラインの痛みはいつ起こる?
インビザライン矯正で痛みを感じる時期は、主に3パターンです。
- 新しいマウスピースに交換した直後
- 治療開始から1週間程度
- 歯の移動が活発な時期
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1.新しいマウスピースに交換した直後
インビザラインは、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。
交換直後は新しいマウスピースの形と現在の歯並びに差があるため、2〜3日程度は違和感や軽い痛みを感じやすい時期です。
特に食事の際、噛み合わせが変化することで違和感を感じることがありますが、歯が少しずつ動いていけば自然と和らいでいきます。
2-2.治療開始から1週間程度
治療を開始した直後は、マウスピースを装着する生活に慣れていないため、違和感を感じる方がほとんどです。
特に装着や着脱の際に違和感を感じますが、3日〜1週間経つと徐々に慣れていきます。
個人差はありますが、この期間を過ぎると日常生活に支障が出るような痛みを感じることはほとんどありません。
2-3.歯の移動が活発な時期
治療開始から3ヶ月目頃は、歯の移動が目に見えてわかるようになる時期です。この時期は特に食事の際に違和感を感じやすく、柔らかめの食事を摂るのがおすすめです。
マウスピースの交換時も違和感を感じやすい時期ですが、歯が順調に動いている証拠でもあります。
3.インビザラインで痛みを感じる5つの原因
インビザラインによる痛みには、主に5つの原因があります。
- 新しいマウスピースに変えたから
- 歯が動くことで圧迫されるから
- アタッチメントが口の中に当たるから
- マウスピースが口の中を傷つけたから
- 歯の治療をして敏感になっているから
それぞれの原因について詳しく説明していきます。
3-1.新しいマウスピースに変えたから
インビザラインは1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。
新しいマウスピースは装着開始した現在の歯並びよりも少し先の状態になっているため、交換直後は違和感を感じやすいものです。特に食事の際は、硬いものを避け、柔らかめの食事を選ぶと安心でしょう。
ただしこの違和感は、2〜3日程度で自然と和らいでいきます。
3-2.歯が動くことで圧迫されるから
インビザライン矯正では、歯が少しずつ理想の位置に動いていきます。
この過程で、歯の周りの組織が敏感になり、違和感を感じることがあります。
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3-3.アタッチメントが口の中に当たるから
治療中は歯の表面に小さな突起(アタッチメント)を付けます。
マウスピースを装着している時は気になりませんが、食事などでマウスピースを外している時に、頬の内側に当たって気になることがあります。
3-4.マウスピースが口の中を傷つけたから
マウスピースは薄くて滑らかな素材でできていますが、特に治療開始時は、端が頬や唇の内側にあたる可能性があります。
またマウスピースの着脱に慣れない2〜3日程度のうちは、口の中を傷つけてしまうこともあります。
3-5.歯の治療をして敏感になっているから
歯と歯の間を少し削る処置(IPR処置)や、歯を抜く処置をおこなったあとは、その部分が敏感になります。
特に処置後3日間は冷たい飲み物や温かい飲み物で痛みを感じやすいため、1週間程度は常温の飲み物を選ぶようにしましょう。
4.インビザラインの痛みを和らげる8つの対処法
インビザライン治療中の痛みへの対処法は以下の8つです。 それぞれの対処法について具体的に解説していきます。
4-1.前のマウスピースに戻す
痛みが強すぎる時は、一時的に前のマウスピースに戻すことを検討してください。前のマウスピースには歯がすでに慣れている位置なので、痛みを和らげられます。
2〜3日様子を見た後、再度新しいマウスピースに挑戦しましょう。
なるべく3日以内に新しいマウスピースに戻すことが大切です。
4-2.柔らかい食べ物を食べる
痛みを感じる時は柔らかい食べ物を食べて、歯や歯茎に負担をかけないようにしましょう。
たとえば、朝はお粥やスクランブルエッグ、昼はうどんや煮物、夜は煮込み料理やスープがおすすめです。
サンドイッチやりんごなど、前歯で噛み切る食べ物は避け、小さく切って奥歯で噛むようにしましょう。
4-3.鎮痛剤を服用する
痛みが強い場合は、担当医に相談して適切な鎮痛剤を処方してもらいましょう。特に就寝時の痛みが気になる場合は、医師に相談の上で服用するのが安心です。
自己判断での市販薬の使用は控え、必ず担当医に相談してください。
4-4.矯正用ワックスを使う
矯正用ワックスとは、口の中を保護するための柔らかい医療用のワックスです。ワックスをマウスピースの気になる部分に付けることで、唇や頬の内側、舌に当たる部分の痛みを軽減できます。
就寝時は奥歯部分にも付けると快適に過ごせます。4〜6時間で自然に取れるので、朝と夜の2回付け直すのがコツです。
4-5.チューイーを噛む
チューイーとはシリコン製のチューブ状の器具で、噛むことでマウスピースと歯の密着度を高め、痛みを軽減できるのです。
前歯から奥歯まで、それぞれ10回ずつ噛むことで、マウスピースが歯にしっかりフィットします。特に違和感のある部分は、1日3回、各5分程度噛むと効果的です。
4-6.マウスピースを削る
マウスピースの縁が気になる場合は、担当医に相談しましょう。
医師が頬や唇に当たる部分やアタッチメントの周りを適切に調整することで、痛みが軽減されます。
4-7.マウスピースをなるべく外さない
インビザライン矯正中に痛みを感じると、どうしても外したいと思ってしまいますが、なるべく外さないことも痛みに対する一つの対処法です。装着時間を長くすることで、プラン通りに歯が動き、痛みが徐々に和らいでいきます。
インビザライン矯正は、1日20〜22時間の装着が目標のため、食事と歯磨き、マウスピースのお手入れ以外は装着し続けることが大切です。
外す時間は1回15分程度に抑え、食事は1日3回に集中して摂るようにしてください。
関連記事:マウスピース矯正(インビザライン)を1日外すとどんな影響がある?
4-8.治療計画を見直す
痛みが2週間以上続く場合は、担当医に相談して治療計画の調整をしてもらいましょう。
マウスピースの型を調整しながら歯の動きを一時的にゆっくりにしたり、特に痛みの強い部分の移動を一時停止したりすると、痛みを和らげられます。
5.まとめ
今回は「インビザライン矯正での痛み」について、その程度や原因、効果的な対処法を解説してきました。
インビザライン矯正は、ワイヤー矯正と比べて痛みが少ないものの、歯を動かす治療である以上、まったく痛みがないわけではありません。
特に新しいマウスピースへの交換時や治療開始の数日には、軽度の痛みや違和感を感じる場合がほとんどです。
痛みを感じた時は、本記事で紹介した対処法を実践してみてください。