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顎変形症とは|原因や放置するリスクなど



重度の出っ歯や重度の受け口など、骨格的なズレが著しい場合の矯正治療は「顎変形症」の診断名のもと、矯正治療に健康保険が適用されるため、自己負担が3割で矯正治療が受けられます。この記事では、顎変形症の種類や原因、治療法について解説します。


顎変形症とは

顎変形症は、上顎(上あご)と下顎(下あご)の成長が不均一であるために生じる、上下の顎の位置関係の異常、大きさの異常、バランスに関する異常の総称です。


この骨格的な異常により、咬合(かみ合わせ)の問題や、顔が非対称となったり、発音、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)題などの機能異常が発生することがあります。顎変形症は見た目に影響を及ぼすだけでなく、噛む、話す、呼吸する、食事をするといった日常の機能にも悪影響を与え、精神面ストレスの原因になることもあります。

顎変形症の種類

顎変形症には以下のような種類があります。

・骨格性上顎前突(出っ歯)

・骨格性下顎前突(受け口)

・上顎後退症

・下顎後退症

・骨格性開咬

・骨格性過蓋咬合

・重度のガミースマイル

・交叉咬合

・重度の下顎側方偏位

・顔面非対称 など


顎変形症になる原因

顎変形症の原因ははっきりとわかっていませんが、遺伝的な要素が大きいと考えられています。家族の中に同様の顎の問題を持つ方がいると顎変形症になりやすかったり、人種によって生じやすさが変わったりします。また、成長期における顎の骨の成長速度の不均衡も原因の一つです。例えば、下顎が過剰に成長するか、あるいは十分に成長しないことで、顎の不均衡が生じます。さらに、外傷や事故による影響も原因として考えられ、顔面への直接的な衝撃が顎の成長に悪影響を及ぼすことがあります。


幼少期の歯並びが反対咬合のまま放置して成長すると、上顎(上あご)の成長が妨げられ、上顎劣成長となり、相対的な下顎前突(上顎後退症)となる場合もあります。


顎変形症の治療法

骨格的なアンバランスが軽度の場合、歯の矯正治療のみで治療が可能です。しかし、矯正治療のみでは望ましい咬合や外見を実現するのが困難な場合、ワイヤー矯正治療と顎の手術を組み合わせた「外科的矯正治療」が適用されます。


顎の手術は全身麻酔下で行われ、上下または下の顎の骨をカットして理想的な位置に調整後、固定します。この手術は主に口内から行われるため、顔に傷跡が残ることはありません。手術後には顔の腫れが見られますが、時間が経てば落ち着くため心配は不要です。手術終了後、術後のワイヤー矯正治療を必ず行います。この後の矯正治療を怠りかみ合わせが安定していないと変形が再び起こるリスクがあります。


「美容成形目的で外国(韓国やタイなど)で顎の骨切りのみを先に行ってしまい、食べ物が噛めなくなってしまった。」という患者様が頻繁にいらっしゃいますが、必ず歯の矯正(術前ワイヤー矯正)を先に行い、骨切り手術、そして術後のワイヤー矯正治療を行ってください。

顎変形症は保険が適用される

一般的に、歯の矯正治療は自費診療ですが、顎変形症と診断され外科的矯正が適用となった場合は保険が適用されます。ただし、保険適用で治療を受けるには厚生労働省に指定された顎口腔機能診断施設での矯正治療が必要ですので、注意しましょう。


外科的矯正治療についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

外科的矯正治療とは?保険適用条件や治療の流れを解説

顎変形症を放置するとどうなる?

顎変形症を放置すると、見た目への影響だけでなく、食事や呼吸など、日常生活に支障をきたす恐れがあります。下顎が小さい方は、気道が狭くなることでいびきをかきやすくなり、さらに睡眠時無呼吸症候群という病気になる可能性もあります。症状が悪化する前に、医師に相談することをおすすめします。

まとめ

顎変形症は保険適用で治療ができる可能性があります。そのためにはまず検査が必要です。

当院は顎口腔機能診断施設として認定されていますので、検査により外科的矯正治療が必要と判断された場合は保険適用での矯正治療が可能です。顎変形症の特徴に当てはまる方は、ぜひ一度当院にご相談ください。