重度の八重歯とすきっ歯の矯正治療を非抜歯、非削合にて行いました。 矯正治療前の状態ですが、上顎は十分に成長しておらず劣成長を認め、著しい叢生（デコボコ）と２重歯列、上顎の側切歯の舌側転位、乳歯の晩期残存を認めます。上顎の劣成長に伴い、下顎も成長発育が芳しくなく、下顎歯列には中等度の叢生があり、小臼歯から大臼歯にかけては内側に歯が傾斜している状態で、舌房も狭い状態でした。

このため、急速拡大装置と表側のワイヤー矯正治療にて治療を開始しました。

上顎の側方拡大により、Ｖ字状であった歯列をU字状に拡大し、十分なスペースを確保したのち、左側上顎犬歯の牽引を開始し、歯列弓内に収めました。なお、晩期残存の乳歯は抜歯いたしました。

下顎においても側方拡大および遠心傾斜移動により、各歯牙をアップライトさせスペースを確保することで、歯を抜いたり削ったりすることなく配列いたしました。上下の顎間ゴムの使用により緊密な咬合を確立させました。

なお、上下の前歯は前方に出さないように留意して治療を行いました。

適切なアンテリアカップリングと側方運動時の臼歯部ディスクルージョンを付与することができました。

適確な診断のもと、１回のアポイントにおいて最適な治療を施すことにより、約１年４か月で治療を終えることができました。

清掃性の良好なリテーナーを使用し、フォローアップを続けていきたいと思います。