
歯列矯正している人はよく見るけれど、自分の歯並びが治療費や時間をかけてまで歯列矯正が必要なレベルなのか、それとも気にしすぎなだけなのか、判断できずに迷っていませんか?
迷いを解消し、将来の健康リスクも考えて納得して治療を検討するためには、まず歯列矯正が推奨される客観的な基準を知るのが大切です。
歯列矯正が必要と判断するには、見た目・噛み合わせ・機能面の基準から判断する必要があります。本記事では、歯列矯正が必要なレベルの歯並びかの判断基準とセルフチェック法を解説します。
歯列矯正に必要な費用は歯並びのレベルで変わるかもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.歯列矯正が必要なレベルの判断基準

歯列矯正が必要なレベルの判断基準は、以下の4つです。
- 見た目に強いコンプレックスがあるか
- 噛み合わせに問題がないか
- 虫歯や歯周病に繰り返しなっていないか
- 発音や滑舌に問題がないか
1つずつ解説します。
1-1.見た目に強いコンプレックスがあるか
もしご自身の歯並びが気になって人前で思い切り笑えない、口元を隠す癖があるなど、コンプレックスを感じている場合、歯列矯正を検討する十分な理由です。
歯列矯正で歯並びが整うと、口元の印象が美しくなり、笑顔に自信が持てます。
歯並びが整うことで精神的なストレスから解放され、前向きな気持ちを得たい気持ちは、歯列矯正が必要だと判断するのに相応しい基準です。
1-2.噛み合わせに問題がないか
噛み合わせに問題があり、食べ物がうまく噛めない場合も、歯列矯正が必要なレベルです。
奥歯でしっかり噛めなかったり、特定の歯ばかりに負担がかかったりする状態を放置すると、食べ物の消化が悪くなり胃腸に負担をかける原因になります。また、うまく噛めない側ばかりで食べ物を噛む癖がつき、顔の歪みにつながる場合もあります。
食事をおいしく楽しみ、体全体の健康を維持するためにも、噛み合わせに問題がある場合は歯列矯正を検討しましょう。
1-3.虫歯や歯周病に繰り返しなっていないか
歯並びがガタガタだと磨き残しが増え、虫歯や歯周病に繰り返しなりやすいため、歯列矯正が必要なレベルだと判断できます。
歯が重なっている部分はプラーク(歯垢)が溜まりやすく、毎日丁寧に歯磨きをしていても、汚れを完全に取り除くのは困難です。歯列矯正で歯をきれいに並べると、歯磨きがしやすくなり、口腔内を清潔に保てます。
歯列矯正は、将来的に自分の歯を1本でも多く残すための、健康的な投資として必要です。
1-4.発音や滑舌に問題がないか
歯並びが原因で、サ行やタ行などの特定の音が発音しづらい、または滑舌が悪いと感じる場合も、歯列矯正を必要とする基準の1つです。
歯と歯の隙間から空気が漏れるすきっ歯や、前歯が噛み合わない開咬は、発音に影響を与えやすい代表的な歯並びです。歯列矯正によって歯の隙間を閉じ、前歯がしっかり噛み合うようにすると、空気の漏れがなくなり、言葉が明瞭になる効果が期待できます。
ご自身の発音や滑舌にお悩みの方は、一度歯科医師にご相談ください。
2.歯列矯正が不要なレベルの特徴
歯列矯正が不要なレベルの特徴は、以下の4つです。
- 歯並びの見た目をご自身が気にしていない
- 噛み合わせが良好で食事や会話に支障がない
- 歯磨きがしやすく虫歯や歯周病のリスクが低い
- 顎関節や歯茎に負担がかかっていない
1つずつご紹介します。
2-1.歯並びの見た目をご自身が気にしていない
歯並びの見た目をご自身がまったく気にしていない、または個性として受け入れている場合は、歯列矯正が不要です。
歯列矯正を始める理由の1つは、見た目のコンプレックス解消です。逆に言えば、多少のズレやガタガタがあっても、ご本人がチャームポイントと感じていたり、日常生活で笑顔をためらう理由になっていなかったりする場合は、審美的な目的での歯列矯正は必要ありません。
2-2.噛み合わせが良好で食事や会話に支障がない
噛み合わせが良好で、食事や会話といった日常生活の機能に支障がない場合、歯列矯正の必要性は低いです。
歯並びは見た目だけでなく、食べ物をしっかり噛むといった役割を担っています。食べ物をうまく噛み砕けたり、特定の音が発音しにくかったりする問題がない場合は、機能面では健康といえます。
前歯で麺類を噛み切れる、奥歯で硬いものをすり潰せる場合は、歯列矯正をおこなわなくても良い状態です。
2-3.歯磨きがしやすく虫歯や歯周病のリスクが低い
歯並びが比較的整っており、歯磨きがすみずみまでしやすく、虫歯や歯周病のリスクが低い状態は、歯列矯正が不要なレベルです。
歯並びがガタガタだと、歯ブラシが届きにくい場所ができ、そこに汚れが溜まって虫歯や歯周病の原因になります。
しかし、ご自身の歯並びがセルフケアしやすい状態であり、実際に長期間、口内のトラブルを繰り返していない場合、予防的な観点からの歯列矯正の必要性は低いです。
2-4.顎関節や歯茎に負担がかかっていない
現在の歯並びが原因で、顎関節や歯茎に過度な負担がかかっていない場合、歯列矯正の医学的な必要性は低いです。
悪い噛み合わせは、顎に無理な力をかけ、カクカク音が鳴ったり口が開きにくくなったりする顎関節症の原因になります。また、特定の歯にだけ強く力がかかると、歯茎が下がるリスクも高まります。
顎関節症や歯茎の下がりなどの症状が見られず、顎や歯茎が健康な状態を保てている場合、歯列矯正の緊急性は低いです。
3.歯列矯正が必要なレベルか知るセルフチェック法
歯列矯正が必要なレベルか知るセルフチェック法は、以下の5つです。
- 鏡の前で「イー」の口をして確認する
- 割り箸を噛んで噛み合わせの傾きを確認する
- 横顔のEラインを確認する
- 歯並びのガタガタ度合いを確認する
- 奥歯で噛んだ時の前歯の重なりを確認する
それぞれ解説します。
3-1.鏡の前で「イー」の口をして確認する
歯列矯正が必要なレベルかを把握するために、鏡の前で「イー」と口を横に広げ、上下の歯の中心が一致しているかを確認してみましょう。理想的な歯並びでは、上の前歯2本の真ん中と、下の前歯2本の真ん中が一直線上に並びます。
中心線が左右どちらかに大きくズレている場合、噛み合わせに問題が生じている場合があります。また、歯茎が見えすぎる場合や、歯が極端に重なって見える場合も、歯列矯正の対象です。
3-2.割り箸を噛んで噛み合わせの傾きを確認する
割り箸を奥歯でまっすぐ水平に噛んでみるのは、噛み合わせの平面が傾いていないかを確認する簡単な方法です。
割り箸を噛んだ状態で鏡を見たとき、割り箸が地面と平行にならず、左右どちらかに傾いている場合は注意が必要です。左右どちらかの歯が短かったり、顎がズレたりしていて、噛み合わせの平面が歪んでいる場合があります。
噛み合わせが傾いていると、片方の顎にだけ負担がかかりやすくなるため、歯列矯正を検討しましょう。
3-3.横顔のEラインを確認する
横顔の美しさの基準とされるEラインをご自身で確認するのも、歯列矯正の必要性を判断する目安になります。Eラインとは、鼻の先端と顎の先端を直線で結んだラインのことです。
人差し指を鼻先と顎先に当ててみると簡単にチェックできます。この直線よりも唇が大きく前に出ている場合、一般的に出っ歯や口ゴボと呼ばれる状態です。
逆に、唇が直線にまったく触れない場合は、受け口の傾向も考えられます。
3-4.歯並びのガタガタ度合いを確認する
歯と歯が重なり合っていたり、デコボコに生えていたりする叢生の度合いを確認するのも重要なチェックポイントです。
歯が重なっている部分は歯ブラシが届きにくく、食べカスや歯垢がたまりやすいです。そのため、ほかの部分と比べて虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
歯磨きがしにくいと感じるほどのデコボコがある場合、見た目の問題だけでなく、将来的な歯の健康を守るためにも歯列矯正の必要性が高いレベルといえます。
3-5.奥歯で噛んだ時の前歯の重なりを確認する
奥歯でしっかりと噛みしめたときに、上の前歯が下の前歯にどれくらい重なっているかを確認するのも大切です。
理想的な噛み合わせの状態は、上の前歯が下の前歯の先端から2〜3mm程度覆っているのが良いとされます。
上の前歯が下の前歯をほとんど隠すほど深く噛み込んでいる場合や、逆にまったく噛み合わず隙間が空いている場合は、歯列矯正が必要なレベルです。
4.歯列矯正が必要と判断される歯並びの種類
歯列矯正が必要と判断される歯並びの種類は、以下の7つです。
- 出っ歯
- 受け口
- 叢生
- すきっ歯
- 開咬
- 過蓋咬合
- 交叉咬合
それぞれ見ていきましょう。
4-1.出っ歯
出っ歯は、上の前歯が下の前歯よりも極端に前に出ている状態です。見た目のコンプレックスになりやすいだけでなく、前歯で食べ物を噛み切りにくかったり、口が閉じにくく口内が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクを高めたりします。
出っ歯は、審美性や機能面でのリスクはもちろん、転倒した際に前歯を折るリスクも高まるため、歯列矯正を検討する歯並びの1つです。
4-2.受け口
受け口は、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態を指します。食べ物が噛み切りにくく、サ行やタ行の発音がしにくくなるのが特徴です。
受け口を成長期に放置すると顎の骨格に影響が出る場合もあるため、早めに治療をおこないましょう。出っ歯と同様、見た目だけでなく、機能面でも改善が必要です。
4-3.叢生
叢生は、歯が生えるスペースが足りず、歯がデコボコに重なり合って生えている状態です。一般的に、ガタガタの歯並びや八重歯と呼ばれます。
叢生は、歯ブラシが隅々まで届きにくいため、磨き残しが増え、虫歯や歯周病、口臭の原因となります。
4-4.すきっ歯
すきっ歯は、歯と歯の間に隙間ができている状態です。前歯の間に隙間があると、見た目が気になるだけでなく、息が漏れて発音がしにくくなる場合があります。
また、食べ物が挟まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
4-5.開咬
開咬は、奥歯でしっかり噛んでも、上下の前歯が噛み合わずに開いてしまう状態を指します。前歯で食べ物を噛み切るのが困難で、麺類を食べる際に苦労するのが特徴です。
また、常に口が開いている状態になりやすく、口呼吸の原因にもなります。
4-6.過蓋咬合
過蓋咬合は、噛み合わせが深すぎる状態で、奥歯で噛んだときに上の前歯が下の前歯を覆い隠すのが特徴です。
過蓋咬合の方は、下の前歯が上の歯茎を噛んでしまい、歯茎に炎症を起こす場合があります。また、顎関節に負担がかかりやすく、顎関節症の原因になるケースも少なくありません。
4-7.交叉咬合
交叉咬合は、上下の歯がどこかで横にずれており、正しい位置で噛み合っていない状態です。
左右の噛み合わせがずれているため、顎が片方に歪んで成長したり、顔の左右非対称の原因になったりする場合があります。
5.歯列矯正が必要なレベルの歯並びを治すメリット

歯列矯正が必要なレベルの歯並びを治すメリットは、以下の6つです。
- 見た目が改善されて笑顔に自信が持てる
- 発音や滑舌が改善されてコミュニケーションがスムーズになる
- 食べ物が噛みやすくなり胃腸への負担も軽減する
- 歯磨きがしやすくなり虫歯や歯周病のリスクが下がる
- 顎関節への負担が軽減されて顎関節症の予防になる
- 歯の寿命を延ばし将来的な健康維持につながる
1つずつご紹介します。
5-1.見た目が改善されて笑顔に自信が持てる
歯列矯正をおこなうことで、見た目がきれいになり、自信を持って笑えるようになります。
歯列矯正を考える方のなかには、出っ歯やガタガタの歯並びがコンプレックスで、人前で口を開けて笑えなかったり、写真を撮る際に口元を手で隠してしまったりする悩みを持つ方は少なくありません。
歯列矯正で歯並びが整うと、口元の印象が変わり、長年のコンプレックスから解放されます。その結果、表情が明るくなり、コミュニケーションにも積極的になれるといった精神面でも、歯列矯正は良い影響を与えます。
5-2.発音や滑舌が改善されてコミュニケーションがスムーズになる
発音や滑舌が良くなり、コミュニケーションが円滑になるのも歯列矯正のメリットです。
歯と歯の間に隙間があるすきっ歯や、前歯が噛み合わない開咬などの歯並びは、息が漏れやすく、サ行やタ行などの発音がしにくくなる歯並びです。歯列矯正によって歯の隙間を閉じ、正しい舌の位置を覚えると、息漏れが改善されます。
歯列矯正によって滑舌が明瞭になり、相手に言葉が伝わりやすくなるため、日常会話や仕事でのプレゼンテーションなどにも自信が持てるようになります。
5-3.食べ物が噛みやすくなり胃腸への負担も軽減する
歯列矯正によって噛み合わせが良くなると、食べものがしっかり噛めるようになり、胃腸への負担が軽減されます。
歯並びが悪いと、上下の歯が正しく噛み合わないため、食べものを十分に噛み砕けないまま飲み込んでしまい、消化をおこなう胃や腸に負担をかけます。歯列矯正で噛み合わせを整えると、食べものを細かくすり潰せるようになり、消化吸収が助けられるため、胃腸の不調が改善されるだけでなく、栄養も効率よく摂取できるようになります。
5-4.歯磨きがしやすくなり虫歯や歯周病のリスクが下がる
歯並びが整うと、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病になるリスク低減につながります。
歯がガタガタに重なっている叢生は、歯ブラシが届きにくい場所が多く、磨き残しが出やすくなり、虫歯や歯周病の原因菌が増殖しやすい環境です。
歯列矯正で歯をきれいに並べると、歯ブラシが隅々まで届くようになり、毎日のセルフケアの質が上がるため、口内を清潔に保ちやすくなり、将来的に歯を失うリスクを減らせます。
5-5.顎関節への負担が軽減されて顎関節症の予防になる
噛み合わせが正しくなると、顎の関節にかかる負担が減り、顎関節症の予防に効果的です。
噛み合わせが悪い状態で食事や会話をおこなっていると、顎の関節やその周りの筋肉に不自然な力がかかり続け、口を開けると音が鳴ったり、痛みが出たりする場合があります。
歯列矯正で左右のバランスが取れた正しい噛み合わせを実現すると、顎への負担が軽減され、顎の痛みの改善や、将来的な顎関節症の発症リスクを抑える効果が期待できます。
5-6.歯の寿命を延ばし将来的な健康維持につながる
歯列矯正は、歯そのものの寿命を延ばし、将来にわたって自分の歯で食事を楽しむための健康維持につながる治療です。
前述にもあるとおり、歯並びが整うと虫歯や歯周病のリスクが減り、特定の歯に過度な負担がかかるのも防げます。歯を失う原因である虫歯と歯周病を予防しやすくなると、結果として歯の寿命が延びます。
歯の健康は全身の健康と深く関係しているため、歯列矯正で健康な歯を維持するのはもちろん、全身の健康維持するうえでも大切です。
6.歯列矯正が必要な場合の主な治療法
歯列矯正が必要な場合の治療法は、以下の2つです。
- ワイヤー歯列矯正
- マウスピース歯列矯正
それぞれ解説します。
6-1.ワイヤー歯列矯正
ワイヤー歯列矯正は、歯の表面か裏面にブラケットといった小さな装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動していく治療法です。
軽度なものから重度の出っ歯やガタガタまで、幅広い症例に対応できるのがワイヤー歯列矯正の強みです。歯を動かす力が強く、細かい調整も得意としています。
ワイヤー歯列矯正は、装置が固定式のため自己管理の手間はありませんが、歯磨きがしにくくなる、表側歯列矯正の場合は装置が目立つといった側面もあります。
6-2.マウスピース歯列矯正
マウスピース歯列矯正は、患者さん1人ひとりの歯型をもとに作製された透明なマウスピース型(アライナー)の装置を、段階的に交換しながら歯を動かしていく治療法です。
マウスピースのメリットは、装置が透明で目立ちにくいため、周りの人に気づかれずに歯列矯正治療をおこなえる点です。また、食事や歯磨きの際には自分で取り外せるため、衛生的で快適に過ごせます。
ただし、ワイヤー歯列矯正に比べて適応できる症例が限られる場合があるほか、1日20時間以上の装着時間を守れないと、計画通りに治療が進まない場合があります。
関連記事:マウスピース歯列矯正ができない人の特徴5選!他の対応策も紹介
7.歯列矯正にかかる費用は歯並びのレベルで変わる?
歯列矯正にかかる費用は、歯並びの乱れのレベルや、どの範囲を治療するかによって変わります。前歯だけを治す部分歯列矯正と、すべての歯を動かす全体歯列矯正では、費用に差が出るのが一般的です。
複雑な症例で治療期間が長くなったり、抜歯や追加の装置が必要になったりする場合も、総額が高くなる傾向があります。
まずはご自身の歯並びがどのくらいのレベルなのかを歯科医師に診断してもらい、正確な見積もりを確認するのが重要です。
8.まとめ
歯列矯正が必要かどうかは、単なる見た目の問題だけでなく、噛み合わせの機能や将来の虫歯・歯周病リスクといった健康面を踏まえて総合的に判断します。
ご自身の歯並びに歯列矯正が必要か迷う場合でも、一度歯科医師に相談するのが大切です。コンプレックスの解消はもちろん、将来の健康を守るためにも、まずはカウンセリングを受けてみましょう。
当院では、「自分の歯並びが歯列矯正が必要なレベルなのか知りたい」「治療に踏み切れない」といったご不安や疑問にも、丁寧なカウンセリングを通じて分かりやすくお答えしています。歯医者さんが苦手な方にも安心してご来院いただけるよう、無理に治療をおすすめすることはありませんので、セルフチェックで少しでも気になった方は、まずはお気軽にご相談ください。