ネットでマウスピース矯正について調べていると、「マウスピース矯正は後戻りしやすい」という話を見かけることがあります。現在マウスピース矯正をしている方、またはこれから始めようと検討中の方にとっては不安材料になりますよね。
この記事ではマウスピース矯正が後戻りしやすいと思われている理由と対処法について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
マウスピース矯正は後戻りしやすい？
結論、マウスピース矯正だからといって後戻りしやすいということはありません。
たしかに歯列矯正を終えて装置を外すと、歯が元の位置に戻ろうとする動き、いわゆる「後戻り」が起こります。ただし、これはマウスピース矯正でもワイヤー矯正でも同じです。後戻りの原因の多くが保定装置（リテーナー）の装着不足であり、矯正方法によって後戻りのしやすさが変わることはありません。
マウスピース矯正は後戻りしやすいと思われている理由
ではなぜ「マウスピース矯正は後戻りしやすい」という情報が出回っているのでしょうか。
考えられる理由としては、リテーナーをオプション扱いしている歯科医院が多数あることが挙げられます。歯列矯正において後戻りを防ぐために保定期間は必須であるにも関わらず、オプション枠にすることで重要性が薄れ、適切にリテーナーを使用せずに後戻りしてしまったケースが増えています。また、安さを売りにしているマウスピース矯正では噛み合わせが重視されずに終了することもしばしば。噛み合わせが安定していないことで後戻りにつながってしまうこともあります。こうした体験をした方の声から「マウスピース矯正は後戻りしやすい」という噂が広がったのでしょう。
実際に、上記のような理由ですぐに後戻りをしてしまったという事例はよくあります。
歯列矯正の後戻りはなぜ起こる？
矯正治療直後の歯はまだ安定しておらず、そのまま放置していると元の位置へ戻ろうとする傾向があります。そのため、保定装置（＝リテーナー）による安定化が必要です。
リテーナーは取り外し可能なタイプが多いため、装着時間・期間は患者様にゆだねられます。矯正治療が終わった喜びからリテーナーの装着をさぼってしまうと、当然後戻りしやすくなります。
後戻りの主な原因としてはリテーナーの装着不足ですが、その他に歯を舌で押したり、頬杖をついたりするような無意識の癖も後戻りの原因になり得ます。
マウスピース矯正で後戻りを防ぐには
マウスピース矯正後の後戻りを防ぐためには、以下の点に気をつけましょう。
1.リテーナーの装着時間・期間を守る
後戻りを防ぐためには、決められたリテーナーの装着時間・期間を守ることが第一です。
通常、矯正後の保定期間は矯正装置をつけていた期間と同じ程度（約2〜3年）、1日の装着時間は20時間以上が推奨されています。特に矯正完了直後は歯が非常に動きやすい状態のため、半日外していただけでも後戻りし始めてしまうこともあります。決められた装着時間・期間は必ず守りましょう。
2.保定期間後もできるだけリテーナーをつける
保定期間が終了したあとも、就寝時だけ装着するなどリテーナーの継続をおすすめします。歯並びは、口周りの習慣や歯茎の状態、年齢による変化など、様々な要因で時間とともに変化していきます。これは矯正を受けていない人も同様です。もちろん、歯並びが後戻りしやすいかどうかは個人差があり、リテーナーを全く使用しなくても大きな変化がない人もいます。しかし、せっかく整えた歯並びをきれいに保ちたいのであれば、できるだけリテーナーを使い続けたほうが良いでしょう。
3.顎間ゴムの使用期間を長くする
歯の後戻りだけが後戻りではありません。顎の位置も後戻りすることがあり、ゴムを長期間使用しないとかみ合わせがずれてしまうことがあります。
矯正治療では、上の歯と下の歯にゴムかけることがよくありますが、このときに使用するゴムを顎間ゴム’（ガッカンゴム）と言います。このゴムは下顎（したあご）の位置を体のバランスの良い位置に安定させる目的で使用しますが、このゴムをすぐ外してしまうと下顎の位置が不安定になり、結果として後戻りしてしまうことがあります。
顎間ゴムの使用期間が長いときもありますが、下顎の位置をしっかり安定させるためにゴムかけはしっかり使用しましょう。
4.何気ない普段の癖に気をつける
以下のような癖がある人は後戻りの原因となるので注意が必要です。
- 舌で歯を押し出す
- 上下の歯を強く噛む
- 下唇を噛む
- 口呼吸
- 頬杖をつく
- 横向きやうつ伏せで寝る
特にリテーナーをしていない時間には、これらの癖が出ないように意識して注意することが大切です。舌の動きの癖に関しては、トレーニングによって改善することも可能ですので、癖が抜けない方は歯科医師に相談してみましょう。
リテーナーの装着時の写真
1.ビベラリテーナー（マウスピース型リテーナー：強度強）
2.エシックスリテーナー（マウスピース型リテーナー：強度弱
3.クリアベルトリテーナー
まとめ
マウスピース矯正だから後戻りしやすいということはありません。どんな矯正方法であれ、歯は後戻りしようとするものです。そのため、後戻りを防ぐにはリテーナーの装着が必須です。保定期間も含め矯正期間だと思い、リテーナーの装着を習慣化しましょう。
